必要が先か、技術が先か

今年もCEATECに行ってきた.

いくつかのトピックについて雑感。

画像検索と動画管理

今最も,ユーザのニーズと実現されているテクノロジーのレベルが大きく開いている(と感じた)IT技術分野が画像検索と動画管理.

画像検索

既存のWeb検索サービスの,前後の文章やAlt属性を見て画像に意味づけを行うアイデアは画期的であったが,これではハードディスクに保存されている無数の画像の管理には利用できない.

タグ付けは実質不可能,既に星の数ほどの素材がインターネットから個人のハードディスクにまで分散しており,改めて人間語で記述し直すのはナンセンス.

画像解析とそれに合わせた分類・管理技術の需要は非常に高いはずだ.

(とは言え,プライベートに管理している画像であれば,ただ単に似た色合いの画像をグルーピングしてくれるだけでも結構便利.例えばImage Sorterを使うと下図のように表示してくれる.)



動画管理

こちらは画像と異なり,現在のところは動画を共有するサービスが限られているため,人間の手でタグ付けすることでもそこそこ対応しきれいている.ただし,今後動画数や動画サービスが増えていくことを考えると限界が来る日もそう遠くはないだろう.

動画管理を複雑にするのは,動画の「中身」について意味づけを行いたいというところ.現状では,ある動画の内容を把握するにはせいぜい2倍速で流し見るか数十秒ごとにスキップして見るしかない.ユーザが利用を躊躇するのはその時間的制約.

シーンを分割し,何分何秒のところにどういうシーンがあるかといった情報を付加できれば,きっと動画利用の機会はぐっと高まる.

ライフログ等の行動履歴収集と,それを利用したプッシュ型情報配信

これは逆に,技術は十分な域に達しているものの,魅力あるサービスを提案できず上擦っている(と感じた)IT技術分野が,行動履歴収集と,それを利用したプッシュ型情報配信.

今回の展示を一通り見て回っても,まだまだ自動取得できるデータだけではライフログとして不十分(それを補填するために,どこでもいっしょのようにユーザに付加情報の入力を促すアプリを提供するものもあったが,本末転倒もいいとこ.)だし,提供される情報も“おせっかい”情報ばかり.

自分がこういうことをやっているだけに(尤も,自分の主題はサービスではなく通信管理なのだが),非常に頭が痛い問題なのだけど.

* * *

改めて,石井先生の言葉を借りよう

その「技術」を育てることが目的なのか,

あなたの「ビジョン」を実現する(ために「技術」を利用する)ことが目的なのか.

追記

satou30のレスへのレス.

まぁ,確かにニーズに応えるために技術が進歩するのか,技術に応じてニーズが高まるのかは鶏と卵のようなところがあるから断言はできないけど.ただ,一般的には表面化していなくても,ある人が「こんな技術が是非とも欲しい」と強く思っていれば,社会的なニーズと見なしてよいのではないかと.

動画に触れた際に想定していたのは,たとえば「あー,このBGMがあの映画のどこかに使われててあのシーンが好きなんだけどどこだったかなー」とか,「この3時間のドキュメンタリーの内容をチェックしなきゃなのに10分しか時間がない!」みたいシーン.そういう場面で活用できるほどのメタデータが,動画に付加されるようになれば便利だろうなと.(それを求める人がどれほどいるかは疑問だがw)

でも確かに,コンテンツとして提供される動画については製作者がその作業を負えばよくて,ユーザサイドでメタデータを付加するような利用シーンはなかなか思いつかないなぁ・・・ それこそニコニコぐらいしか.

あと,僕は自分の脳みそをそんなに信用していない.現時点では確かに,脳の方がそうした処理に向いているのだろうけど.

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